WSOPメインイベント日本人歴代最高位記録を更新した長見恭輔さんにインタビュー!毎朝の友人との刀屋が安定したプレイの秘訣!?
2024年7月、アメリカ・ラスベガスにて、ポーカーの世界大会であるWSOPメインイベントが開催されました。
1万人を超える参加者の中で、見事21位入賞を果たしたのが、日本の長見恭輔さん!
21位という順位は、歴代のWSOPメインイベントに参加した日本人の中で最高記録となりました。
今回は、そんな長見さんにインタビューさせていただけることになりました!
WSOP2024メインイベント日本人最高位・長見恭輔さんにインタビュー
ここからは、長見さんとインタビュアーの会話形式でお楽しみください!
長見さんのご紹介
長見さん、WSOP2024メインイベント日本人最高位記録更新、そして21位入賞、本当におめでとうございます!
まずは読者の皆様に、簡単に自己紹介をお願いします。
長見恭輔と申します。今32歳で、先月までサラリーマンをしておりました。現在は独立準備中+兼業としてポーカープレイヤーをしています。
ありがとうございます。
ポーカー歴はどれくらいですか?
ポーカー歴は6年くらいです。
6年前にラスベガスに旅行に行った際、初めてポーカーをプレイしたのですが、ビギナーズラックで1,000bbくらい勝って(笑)。そこからポーカーをプレイするようになりました。
最初の4年はたまに海外に行った時にポーカーする程度だったのですが、ここ1年半で海外によく行くようになり、行くたびにキャッシュゲームをプレイしていたら、毎回勝てて(笑)。完全にどハマりしました。
海外遠征負けなしですか!?
ポーカーするために生まれてきたような方ですね・・・(笑)
そうかもしれません(笑)
ただ、トーナメント歴でいうと10ヶ月くらいしかなくて、去年のAPT仁川で初めてトーナメントをプレイしました。
それでこの成績は強すぎます・・・。
ラスベガスに行った目的
今回のラスベガスは、キャッシュゲームよりもトーナメント出場がメインでしたか?
はい。基本はトーナメント(WSOP)に出ることが目的で、キャッシュゲームは30時間くらいしか打っていないです。
そうなんですね。ラスベガスには何日くらい滞在されましたか?
20日間くらいです。
ちょうど6月28日に会社の送別会をしてもらって、次の日にはもうラスベガスに出発しました(笑)
気合いを感じます!!
WSOPメインイベントの手応え
実際メインイベントDay7までプレイされてみて、周りのレベルだったり、FTに行けそうといった手応えなどありましたか?
Day1、Day2、Day3と進んでいくにつれ、周りのレベルが上がっていくことを実感しました。
特にDay7になると、卓に1人2人いためちゃくちゃ上手い人だけを凝縮したテーブルみたいになっていて・・・レベルの違いをすごく感じました。
手応えとしては、Day8までは進めるんじゃないかと思っていました。
というのも、自分はDay7のラストレベルで残り10bb弱をプッシュしたらたまたまAKがいて飛んでしまったのですが、噛み合わせひとつでスチールもしくはダブルアップできていたらDay8は見えていたのかなと思います。
最後のフリップ勝てていれば・・・!
日本人最高位記録を更新した瞬間
残り25人から24人にジャンプして、日本人最高位を更新した瞬間はどのようなお気持ちでしたか?
僕というより周りがすごく盛り上がってくれたので、僕は逆に落ち着いてプレイできていました。
ただDay7の残り25人という状況はやっぱりヒリついていて、どちらかというと”Day8に進む”ことを主に考えていたので、“気づいたら更新してた”という感覚でした。
なるほど、プレイ中はそこまで記録のことを考えていなかったんですね。
むしろ、終わった後にちょっと緊張してきました(笑)
Day2では8bb…。そこからDay7までどう増やした!?
Day2では8bbまで減らしたとXで拝見しました。8bbのショートからday7まで、どのようにチップを増やしていったのですか?
まず1回オールインに勝って16bbまで増やしてからは、少しずつコツコツと増やしていった感じです。
僕はこれまでアジアのターボストラクチャーのトーナメントしか経験したことがなく、逆に10〜20bb付近は自分の得意分野だったので、着実に増やしていくことができたのかなと思います。
ショートになっても冷静にプレイできるのは流石ですね!
トーナメントで生き残るために
長見さんの中で、Day7まで残ることができた要因はズバリ何だと思いますか?
メインイベント中は毎日12時間トーナメントをプレイしていたのですが、終わった後に約6時間の座学をして、アドレナリンが出ていたので睡眠は3時間でした。
メインイベントでは日を越す毎にレベルが上がって行くため、その日に出てきた課題はその日のうちに学習して改善し、翌日には同じシチュエーションでやられないようにしていました。
また、他のプレイヤーに対しても同じシチュエーションを押し付けるようなプレイが出来たことが、このトッププロだらけのステージで生き残れた要因だと思ってます。
毎日座学を6時間!?凄すぎます。
そんな向上心の高さとストイックさが、しっかりと結果に表れたんですね。
印象に残っているプレイヤー
Day7までプレイする中で、印象に残っているプレイヤーについて教えてください!
印象に残っているプレイヤーは、Stephen Songです。
Day3で同卓したんですが、インマネまでのプレッシャーがかかる場面で、彼のチップリーダーとしての立ち回りがすごく上手いなと感じました。
彼は僕の右隣で、ポジションを取られているにも関わらず、ベットにはレイズを返すし、チェックにはアウポジから大きくベットするみたいな。こちらが対応できない動きを常にされて、彼にはかなりチップを取られましたね。
ただDay7で再会(同卓)した時には、「お互いここまで頑張ってきたし、一緒に明日のDay8に進もう」って会話ができて。仲間意識がお互いできたことも嬉しかったですし、彼はショートだったので先に飛んでしまったのですが、Stephenの想いも背負って頑張ろうって気持ちにもなりました。
Stephen SongはWSOPブレスレット1つ、WSOPリング6つ所持するポーカープロですね。
素敵なエピソードをありがとうございます。
印象に残ったプレイやハンド
印象に残っているプレイやハンドはありますか?
これもStephenとのブラインドヘッズの時のハンドなんですが、
自分がAハイで、6627みたいなローボード且つペアボードが落ち、フロップ、ターンxxで回りました。
リバーでKが落ちて、Qハイなどのハイカード系からバリューを取ろうと思って小さいベットをしたんです。
そしたらStephenから、10倍のレイズが返ってきて(笑)。
自分はAハイなので流石にコールできなかったんですが、後から聞いたらJハイだったらしく。
まさに自分のバリューターゲットだったようなハンドに降ろされてしまって…
その後も彼にはそういうリバーの特大ベットを何度もされて、やりづらかったです。
海外プロっぽいプレイですね。アジャストが上手い・・・。
ハンドリーディングがずば抜けて上手いなと感じましたね。
トーナメント中に気を付けていたこと
Day7までを通して、気を付けていたことなどはありますか?
タイムテルや、サイジングテルを出さないように気を付けていました。
スナップコールできる場面でも敢えて時間を使ったり、逆に長考もし過ぎないようにしていました。
あとは考える時も、微動だにしないとかは気を付けていました。
テルを出さないのは大事ですよね。
表情を読ませないようにサングラスをかけるプレイヤーも多いですが、長見さんは使わなかったんですか?
どっちかっていうと僕、ブラフ顔って言われるんですよね(笑)
なぜかオーバーベットのバリューにコールしてもらいやすいんですよ(笑)
だから僕は逆にかけずに、ブラフっぽい雰囲気を出すようにしていました。
ブラフ顔って初めて聞きました(笑)
普段とは違う環境の中で、いつも通りプレイするために
ラスベガスという普段とは違う環境の中で、いつも通りプレイするために心がけたことなど何かありますか?
ルーティーンを作ることを意識していました。
朝の活動時間は毎日一定にしてましたし、朝どこで何を食べるかも統一していました。
ハセリョーっていう会社員時代の同期もラスベガスに来ていて、メインイベントも毎日一緒に出ていたので、朝9時に活動開始して、刀屋(Katana-ya)っていうホースシューの前にある日本食のレストランで一緒に食事して、一緒に会場に向かうっていうルーティーンを作っていました。
規則正しい生活がコンディションに表れると思っていたので。
そのおかげで落ち着いてプレイできた部分もあると思います。
メイン期間はコンディションにかなり気を配っていたんですね!
…ただ、コンディションが最高だったかというとそうではなくて。
実はメインイベントの前日に熱出して…。
えええ!?
そしたらハセリョーから、「アメリカにしか売ってない劇薬」だとか言って、毒みたいな色した飲み薬を渡されたんです。
しかも$50くらいするんですけど。
でもそれ飲んだら熱が引いたんですよ(笑)。
すご!ホントに劇薬ですね(笑)
でもメインイベント終わった次の日にまた熱出したので、単にアドレナリンが出てただけかもしれません(笑)
普段のポーカー勉強方法
普段はどのようにポーカーを勉強されていますか?
勉強していることは2つあって、まず1つはGTOです。
GTO Wizardを使っていろんなスポットを勉強しています。
2つ目は、ライブポーカーならではのエクスプロイトです。
これはライブキャッシュ・ライブトーナメントの経験を積むことでしか学べないと思うのですが、経験も勉強の1つだと思っています。
なるほど!座学と実践、どちらも大切にされているんですね。
賞金の使い道
今回、5,000万円を超える賞金を獲得されたわけですが、賞金の使い道は決めていますか?
特に大きい買い物をしようとは思っていなくて、そのままバンクロールにスライドする形になります。
その上で一番期待値の高いトーナメントやキャッシュゲームのレートを選んで続けていきます。
ただ、あるとしたら、お世話になった方々にご飯をご馳走しようと思っています!
素敵な使い方ですね!
直近参加するトーナメント
今後の海外トーナメントの予定を教えてください!
次は韓国・チェジュ島で開催されるRed Dragonに行く予定です。
そこからはEPTバルセロナ、WPT オーストラリア、APT台湾に行きます。
11月は未定ですが、12月はまたラスベガスでWPT World Championshipに出る予定です。
今年だけでもしかしたらトーナメントに1億円くらい使うかもしれません(笑)
長見さんならそれ以上に稼ぐと思うので大丈夫だと思います!!
今後のポーカーに関する目標
最後に、今後のポーカーに関する目標を教えてください!
2つあって、1つはプレイヤーとして賞金を積み上げていくことです。
その過程の中で、WSOPのブレスレットを獲ったり、メインイベントでさらにロングランしてFTに進出したりを目標にしています。
2つ目は、日本のポーカー業界を盛り上げたいという気持ちがすごく強いです。
ポーカーのトーナメントを中心に稼いでご飯を食べていくスタイルを確立して、ポーカーって夢があるんだなと示せるような人材になっていきたいと思っています。
素敵な目標ですね!長見さんなら今後ももっとご活躍されて、日本のポーカー界に影響を与え続けられる人になれると思っています!
本日はインタビューをお受けいただきありがとうございました!
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